第16回 CRCと臨床試験のあり方を考える会議 2016 IN 大宮
臨床研究のクオリティーを確保するために必要なこととは​~他のプレイヤーとの協働

プログラム・日程

講演スライドの公開は2016年(平成28年)末で終了させて頂きました。

日程表

最新の日程表・プログラムを掲載いたします。下記ボタンをクリックしてご確認をお願い申し上げます。

開会式

9月18日(日)9:20〜

閉会式

9月19日(月・祝日)15:00〜
特別講演

特別講演1

9月18日(日)9:30~10:30
「臨床試験の一翼を担う我々の方向性~PMDAの改革の経験を踏まえて~」
演 者:
近藤達也(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

省令GCPが公布されてから20年が経つが、今や日本における治験の実施にCRCは益々重要となっている。また、医薬品開発のグローバル化や、IT技術の進歩に伴い、臨床試験の手法も省令GCP公布の当時と比べ飛躍的に進歩し、クオリティも格段に向上している。しかしながらその一方、詳細な手順の取り決めや精度管理、様々なトレーニング等、CRCやその他の現場スタッフが連携して行わなければいけないことにより、個人への責任も増大している現状がある。本会の参加者はCRCを中心として、薬剤師、看護師、臨床検査技師、データマネージャー、プロジェクトマネージャーなど、臨床試験を支える様々なプレイヤーで構成されている。その参加者達に向けて、本会のメインテーマである「クオリティを担う一員として今何をすべきか?~分業と連携~」を踏まえ、PMDAの改革の経験を紹介していただきながら、我々の目指すべき方向性をご教授いただくとともに、日々、臨床試験の一翼を担う各メンバーにエールを送っていただくことになっている。

特別講演2

9月18日(日)13:20~14:20
「省令GCP公布20年目を迎えて~達人が語る治験の温故知新~」
演 者:
森 和彦(厚生労働省審議官(医薬担当))

2016年度は、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)に関する省令の公布20年目を迎える節目である。省令GCP施行前のわが国の治験の環境は、倫理性、科学性、データの信頼性の観点から、ルールを含め国際的水準には到達しているものとはいいがたかった。しかしながら、日米欧でハーモナイズされたICH-GCPに基づいた省令GCPの公布により、国際的に評価の耐えうる治験の実施が可能になるルールが整備された。その結果、治験の空洞化が一時期あり、紆余曲折したものの、わが国における治験のデータは倫理性、科学性が確保されたことに加え、スピード、コスト、質とも欧米水準に達したものと考えられる。
そしてGCP公布20年目を迎えた今、コンパッショネートユース等、わが国における治験に対して新たな施策が講じられ、次のステージに移行し始めている。このような状況下、われわれは「治験の温故知新」、すなわち次のステージに移行するには歴史や先人の知恵を見習って教訓にすることが重要と考えている。そこで、わが国において最も治験のことを知る達人に過去・現在・未来を思う存分語っていただき、わが国における開発治験の次のステージに向けた方向性を再考する一助になればと考えている。

シンポジウム

シンポジウム1

9月18日(日)14:40~16:10
「これからの倫理審査のあり方を考える ~体制構築の先に見えた課題の解決に向けて~」
座 長:
吉田雅幸(東京医科歯科大学 研究・産学連携推進機構 生命倫理研究センター)
座 長:
木俣美津夫(聖隷浜松病院 臨床研究管理センター)
シンポジスト:
吉田雅幸(東京医科歯科大学 研究・産学連携推進機構 生命倫理研究センター)
シンポジスト:
平野隆司(国立病院機構 名古屋医療センター)
シンポジスト:
山下紀子(国立がん研究センター 研究支援センター 被験者保護室)
シンポジスト:
(静岡県立総合病院 臨床試験管理室)

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下、医学系研究指針)」の施行を機に、被験者保護や研究の質を確保するための倫理審査の重要性が増してきている。国としては、医学系研究指針の施行に先立って、2014年より厚生労働省による倫理審査委員会認定制度を開始し、国際水準の臨床研究など高度化かつ複雑化する臨床研究について、倫理性・科学的妥当性を適切に判断できる質の高い倫理審査委員会の認定を開始した。2014年度に9つの倫理審査委員会が、2015年度には新たに6つの倫理審査委員会が認定されるに至っている。また、医療法に基づく臨床研究中核病院の認定も進み、日本国内の臨床研究をリードする臨床研究実施体制と倫理審査体制の構築を両輪で進めている。一方、国内では約1,400もの倫理審査委員会が設置されていると言われており、その多くが審査の質や体制の確保に様々な課題を抱えている現状がある。
本シンポジウムでは、国が進めている倫理審査委員会認定制度の状況や今後の展望について共有するとともに、実際に、認定された委員会をもつ医療機関及び臨床研究中核病院が倫理審査体制の構築においてどのような課題に直面し、その課題解決に向けてどのような取り組みを行っているのか、そして、倫理審査委員会を設置している一般病院において審査の質や体制確保に向けてどのような取り組みを行っているのかについて紹介いただき、これからの倫理審査のあり方について、議論を深めていきたい。

シンポジウム2

9月18日(日)14:40~16:10
「どこまでやったらいいのか?CRC業務 ~新たな役割分担を目指して~」
座 長:
玉浦明美(国立研究開発法人日本医療研究開発機構臨床研究・治験基盤事業部 規制科学・臨床研究支援室)
座 長:
佐藤弥生(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター治験・臨床研究推進センター 治験・臨床研究推進部CRC室)
シンポジスト:
江見美和子(公益財団法人先端医療振興財団 先端医療センター臨床試験支援部)
シンポジスト:
山路直美(国立病院機構福山医療センター臨床研究部 治験管理室)
シンポジスト:
青谷恵利子(公益財団法人神奈川科学技術アカデミー グローバルヘルスリサーチコーディネーティングセンター)
シンポジスト:
中村奈央(セーマ株式会社治験支援事業本部CRC事業部LDM設置準備室)

昨今、どこの医療機関においてもCRCの人材不足が懸念されているが、グローバル試験等の増加により業務が煩雑となり、CRCは日々疲弊している現状がある。また、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の施行により、医療機関において臨床試験の質をどのように担保をすべきか?という課題に直面しており、CRCの臨床試験への関与が求められているが、マンパワーと支援体制の整備等の課題があり、未だ臨床試験に関与できていない医療機関が多いのではないだろうか?  一方、CRCアシスタントやローカルデータマネージャー(LDM)、データマネージャーを導入し、「分業」と「連携」を行うことで、新たな業務展開により臨床試験の一部にもCRCが支援する体制を構築する取組が見られるようになってきた。
このシンポジウムでは、①治験においては、どのような業務の分業と連携により「業務の効率化」や「質の向上」を目指す体制が出来るか?②さらに臨床試験に関与する場合、どのような業務の分業であればCRCの経験を生かして臨床試験へ関与していくことが可能となるか?について、それぞれの立場の方からお話いただき、個々医療機関の実態に合った新たなCRC業務の構築を見出すセッションとなっていただきたい。

シンポジウム3

9月18日(日)14:40~16:10
「どこまでやったらいいのか?~精度管理~」
座 長:
東影明人(岡山大学病院 新医療研究開発センター治験推進部)
座 長:
山内暢晃(久留米大学医学部附属病院治験センター)
シンポジスト:
酒井亮祐(独立行政法人医薬品医療機器総合機構信頼性保証部)
シンポジスト:
中川 孝(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社クオリティメディシン部)
シンポジスト:
森 泰治(株式会社メドファーマ臨床開発部)
シンポジスト:
乙部恵美子(浜松医科大学医学部附属病院 臨床研究管理センター)

国際共同治験の実施が増加することに伴い、治験の科学性、被験者の安全性、データの信頼性について、国際的な水準の確保が求められている。本邦では2011年のGCP運用通知において、治験における臨床検査等の精度管理について明記されて以降、2012年のGCPガイダンスにもその旨が反映され、2013年に厚生労働省医薬食品局審査管理課より発出された「治験に係る文書又は記録について」および「治験における臨床検査等の精度管理に関する基本的考え方について」の各事務連絡において下記見解が示された。1.治験に係わる文書又は記録は、規制当局による調査又は治験依頼者による監査等に対応できるように整理しておく必要がある 2.検査の精度管理は治験に係わる検査であるか否かにかかわらず非常に重要な課題である 3.各医療機関においては適切な品質管理システムの導入や外部認定の取得等により、検査の精度を対外的に確保できる体制を積極的に検討する 4.測定等に用いた機器の校正・保守点検記録の確認の必要性は治験における当該評価項目の重要度に応じて判断すべきである さらに、2016年度診療報酬改正では、国際規格に基づく技術能力の認定を受けた施設に対して認められる国際標準検査管理加算が新設され、治験実施医療機関ではISO15189認定などの外部認定の取得が今後も増加するのではないかと考えられる。
一方、治験依頼者においても治験実施医療機関に求める精度管理の範囲や程度についての検討が進められているが、外部認定を取得しても調査内容が膨大であり、その内容に一貫性がないなど、治験実施医療機関では未だ悩まされることが少なくない。
そこで、本シンポジウムでは、規制当局、治験依頼者、CRO、治験実施医療機関それぞれの立場から臨床検査等の精度管理に対する見解や取り組み、現状の問題点などを発表していただくことにより互いの理解を深めるとともに、治験に求められる精度管理がどのようなものかを見極めることを目指したい。

シンポジウム4

9月18日(日)16:30~18:00
「Research Integrityを実現するために」
座 長:
後藤美穂(日本SMO協会/トライアドジャパン株式会ち社)
座 長:
中野重行(大分大学/創薬育薬医療コミュニケーション協会/臨床試験支援財団)
シンポジスト:
森下典子(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター臨床研究推進部 臨床研究推進室)
シンポジスト:
森豊隆志(東京大学医学部付属病院 臨床研究ガバナンス部)
シンポジスト:
藤本 勝(日本SMO協会/株式会社イスモ)
シパネリスト:
高杉和弘(日本製薬工業協会/持田製薬株式会社)

「Research Integrityを実現する」といっても、Research Integrity研究における公正性、誠実さ、高潔さ)という単語は漠然としていて、CRCとして何をどう取り組んだらよいか分からない方もおられるかと思われる。Research Integrityは、個人要因と環境要因の両輪で実現できるものである。従来、Research Integrityの実現は個人の良心に委ねられていた。しかし、外部からの圧力がかかり、それが不正行為を行う時に感じる「良心の呵責」を乗り越えてしまった場合、そのCRCが不正行為を行えない環境に置かれていなければ、Research Integrityは保たれない可能性がある。
CRCは沢山の人と関わるため、色々なところでコンフリクトが生まれ、プレッシャーが生じる。ただし、プレッシャーに押しつぶされ、視野狭窄が生じて不正行為しか見えなくなってしまっても、そんなCRCの悩み相談に乗り、視野を広げる手助けをすることで、Research Integrityは保てるようになるかもしれない。そしてこの環境では、不正行為は実施不可能と思えば、Research Integrityは実現できるものと考える。言い換えれば、個人要因が常にリスクにさらされている中で、不安を抱えながら仕事を行うのではなく、組織として対応することで、安心してResearch Integrityを実現しながらCRCとして働けるようになればResearch Integrityを保つことができるのではないかと考えている。
本シンポジウムでは、CRCの立場、アカデミアや企業としてガバナンス強化に取り組んでいる立場からご発表頂き、Research に関わるプレイヤーが一堂に会してResearch Integrityを実現するためにどうしたらよいかを意見交換する。また、日々のCRCとしての責任ある行動もResearch Integrityの実現に結びつくものであり、さらに自分自身をリスクから守るためにも、CRCとしてどのような心構えでいて、どのようなスキルを身に着け、どのような組織にしていけば良いのか、今CRCとしてできることは何かを、本シンポジウムでは議論していきたい。

シンポジウム5

9月18日(日)16:30~18:00
「臨床研究・治験推進next stage(AROとNW機能の連携によるクオリティ向上)」
座 長:
栗山 猛(国立研究開発法人国立成育医療研究センター)
座 長:
大靍則安(久留米大学病院 治験センター)
シンポジスト:
吉田易範(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
シンポジスト:
青木正志(東北大学病院 臨床研究推進センター 副センター長・神経内科)
シンポジスト:
<船越公太(九州大学病院臨床研究部門)
シンポジスト:
友常雅子(東京都立小児総合医療センター臨床研究支援センター)

わが国発の革新的医薬品・医療機器の創出に必要な質の高い臨床研究や医師主導治験を遂行する医療機関として、2015年8月に医療法に基づく臨床研究中核病院が選定された(平成28年3月時点で8施設が選定)。これら臨床研究中核病院や各拠点医療機関においてARO(Academic Research Organization)機能が整備され、医療機関が自らイノベーションを創出していく環境が整ってきている。
一方で、従来から臨床研究・治験を推進していくため同一設立母体の医療機関から構成されているネットワークや地域性、疾患領域を背景とするなど様々な形で「臨床研究・治験ネットワーク」が設立され活動している。この臨床研究中核病院等で培われたARO機能(質の整備)と既に構築されたネットワーク機能(面の整備)を連携していくことで、より広範囲に臨床研究・治験のクオリティ(臨床研究・治験の支援・管理体制、データ管理体制、人材育成、臨床研究におけるモニタリング・監査体制など)が確保されていくものと考える。このARO機能とネットワークに加盟する施設との連携が我が国における臨床研究・治験推進のための次のステップ“next stage”になっていくのではないだろうか。
本シンポジウムでは、わが国における革新的医療技術創出プロジェクトの現状、ARO機能の整備状況と連携によるネットワーク機能の活用法(支援人材の育成、信頼性確保の取り組み等)、およびネットワーク加盟施設として実際の支援活動から考えたAROやネットワーク機能に期待することなどについてお話いただき、臨床研究・治験の実施支援、事務局支援、被験者保護など幅広く活躍しているCRCがクオリティを担う一員として、今後どのような活動をしていけばいいのかを考える機会になれば幸いである。 より有効で安全な医薬品・医療機器をより早く創製する体制を整え、「未来への贈り物」としていきましょう!

シンポジウム6

9月19日(月・祝)9:00~11:00
「COIとこれからの臨床研究におけるCRCの役割」
座 長:
花輪正明(日本製薬工業協会医薬品評価委員会)
座 長:
丸雅子(長崎大学病院臨床研究センター)
シンポジスト:
児玉安司(新星総合法律事務所)
シンポジスト:
河内敏康(毎日新聞社)
シンポジスト:
井上真吾(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)
シンポジスト:
山本弘史(長崎大学病院)

国民・患者に提供される治療や医療サービスの向上を目的として行われる臨床研究(治験を含む)は、国民の保健衛生向上の観点からも極めて重要であり、その目的完遂の為には高い質が求められている。 良質な臨床研究を行うには相応のコストがかかり、またその成果を標準医療サービスとして社会に還元するためには、新薬開発等を担う企業との産学連携が不可分である。質の高い臨床研究の実施にはCRCの関与は極めて重要であり、2つの観点、すなわち①CRCの資質の向上、②CRC数の充足が求められる。そしてCRCの資質の一つとしてCOIに係る知識を持ち、COI回避は、産学連携による臨床研究の信頼性に影響を及ぼすことを予防する措置でありCRCの係わりも大きい。また、CRC数の充足の観点からは、GCPに従った治験でCRCが果たしてきた質の確保の役割が、治験以外の臨床研究においても求められるのは当然の帰結であり、このため治験以外についても、CRCとしての役割を十分果たせるCRC数の充足が必要であり、その為の社会的投資が必須となっている。
 そこで、本シンポジウムでは、産学連携から問題となる「COIと研究不正」についての理解を深め、そのうえで最近発生したバルサルタン臨床研究疑惑の実例をメディアの視点からお話し頂き、このようなCOI疑惑を回避するため製薬企業ではどのような対応を取っているのか、最後にCRCが臨床研究の質をより高める為への関わりと共に、CRCの置かれた課題について認識を深めることとする。特に臨床研究を行う際、CRCが関与することで臨床研究の質の向上が期待されるが、これまでは治験と違い臨床研究ではCRCの費用が十分配慮されていない。この費用は質の高い臨床研究の実施のために必要なコストと考えるが、いまだ実施施設である医療機関ではその認識が不十分で、浸透していない。臨床研究を取り巻く状況の正しい認識や事例把握と共にCRCの現状を講演いただいた後、これからの臨床研究におけるCRCの役割について演者、会場の皆さんとの意見交換を行う。

シンポジウム7

9月19日(月・祝)9:00~11:00
「実施だけではない、CRCができるクオリティへの貢献」
座 長:
安藤幸子(名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター)
座 長:
池原由美(琉球大学医学部附属病院臨床研究教育管理センター)
シンポジスト:
植田真一郎(琉球大学大学院 臨床薬理学琉球大学医学部付属病院 臨床研究教育管理センター)
シンポジスト:
大津 洋(国立国際医療研究センター 臨床研究センター)
シンポジスト:
小原 泉(自治医科大学看護学部/臨床研究支援センター)
シンポジスト:
松山琴音(京都府立医科大学 研究開発・質管理向上統合センター)

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の施行に伴い、先般、臨床試験の信頼性を確保することを目的としたモニタリングが注目されている。モニタリングは、試験実施計画書を遵守し適切にデータ収集・報告されたことを担保するうえで重要であるが、あくまで品質管理活動の一部であり、これだけでは臨床試験の品質と結果の信頼性を確保することはできない。まずは試験の上流にあたる試験計画を立案する段階で社会的な意義や倫理的・科学的な妥当性、実現可能性などが十分検討されたうえで実施計画書が作成されることが重要であるため、この段階から経験を積んだCRCの関与が期待されており、CRCがクオリティに貢献できる場が広がっている。
しかし、多くのCRCは企業主導の治験において、完成した実施計画書を遵守して実施するための準備や実施中の品質管理については日々の業務で経験しているものの、試験計画の段階に関与した経験がないため、いざ支援を依頼されると戸惑いを覚えるのではないだろうか。
そこで、このプログラムでは、そもそもどのようにして実施計画書が作成されるのか、試験の計画段階から行われるリスクの低減とはどのようなものか、この段階からCRCが関与することの意義、その役割を果たすために必要なスキルなどについて研究責任者、生物統計家、CRCレビューア、プロジェクトマネージャーの各先生方の視点から意見をいただくことで、CRCが試験の実施だけではなく、臨床試験の上流にも視点を広げ品質管理への意識をさらに高めることを目指したい。

シンポジウム8

9月19日(月・祝)9:00~11:00
「医療データの効率的利用を考える~実施医療機関から治験依頼者へ治験データの直接提供は可能なのか?~」
座 長:
青柳吉博(国立がん研究センター東病院)
座 長:
渡辺敏彦(日本CRO協会)
シンポジスト:
横井英人(香川大学医学部附属病院 医療情報部 臨床研究支援センター)
シンポジスト:
千葉吉輝(大学病院医療情報ネットワーク研究(UMIN)センター)
シンポジスト:
白瀨真由美(国立がん研究センター東病院)
シンポジスト:
船見宣之(ノバルティスファーマ株式会社)
シンポジスト:
山口裕志(グラクソスミスクライン株式会社)

治験における症例報告書(CRF)へのデータの記載は、治験依頼者が用意するEDCシステムに治験担当医師、CRC、ローカルデータマネージャー等の病院スタッフが、カルテを閲覧して、手入力する運用が一般的である。一方、近年の電子カルテの導入施設の増加とともに、電子カルテデータを直接治験データとして治験依頼者へ提供できないかということが検討されている。これは、電子カルテのデータを直接治験依頼者に提供できれば、病院スタッフのデータ入力等に関する負担が軽減され、さらに転記ミスやデータ入力の遅延などが防止できる可能性があるためである。また、治験依頼者におけるSDV等を目的とした施設訪問の頻度も削減され、CRFの品質向上・治験のスピードアップに貢献できるとも考えられる。そこで、本シンポジウムでは、上記に関して先進的な活動を行っている施設より、システム導入の実際や効果、問題点に関して発表を行い、また将来、電子カルテデータを集学的評価のデータとして活用するための方法ついて議論ができればと考えている。
電子カルテのデータを直接用いることはまだ一般的ではなく、コンピュータシステムバリデーションの観点からも様々な課題があると思われる。その一方で、電子カルテで保管されているデータをCDISC形式に変換するような試みも行われるようになり、近い将来には広く導入される可能性もある。本セッションを通して自施設の電子カルテデータの活用に興味を持ち、治験や臨床研究などへの積極的な利用に寄与できれば幸いである。

シンポジウム9

9月19日(月・祝)9:00~11:00
「治験業務の適切なマネジメントのために」
座 長:
鈴木由加利(新潟大学医歯学総合病院)
座 長:
白井利明(日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会)
シンポジスト:
水井貴詞(岐阜市民病院)
シンポジスト:
山田奈央子(東京大学医学部附属病院)
シンポジスト:
後藤美穂(日本SMO協会/トライアドジャパン株式会社)
シンポジスト:
金井 学(日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会)

マネジメントとは、組織がより多くの成果をあげるための仕組みである。医療機関(組織)で行う治験業務における「成果」とは何かを考えると、それは「多くの高質な治験データを出すこと」ということになるであろう。それでは、多くの高質な治験データを出すために医療機関において治験業務の何をどのようにマネジメントしたら良いのだろうか?当該シンポジウムではそのような疑問の解決を図るべく治験業務をいかにマネジメントしていくかについて議論する。
まず、人をどのように管理するかという観点から「複数の治験を同時に実施する際の院内リソースのマネジメント」、「治験を一つのプロジェクトと考えたときのプロジェクトマネジメント体制」等について医療機関からの事例を紹介していただく。次に品質のマネジメントに関連して、医療機関が自主的に取組む治験データの高質化のための取組みを紹介していただく。さらに、CRCは適切に治験を運営していくために組織内外のステークホルダーと適切にコミュニケーションをとりながら各部門の専門家の協力を仰ぐという複雑なマネジメントを行わなければならない。CRCが治験業務をマネジメントする際に、誰とどのようなコミュニケーションをとり、円滑に治験を進めているのか、コミュニケーションマネジメントの視点でCRCとして取組みを紹介していただくこととしている。
最後に2013年度に製薬協で検討した医療機関における治験業務のマネジメント関する提案を一部紹介する。

シンポジウム10

9月19日(月・祝)13:10~14:40
「侵襲・介入を伴う臨床研究へのモニタリングの実施状況」
座 長:
内田直樹(昭和大学医学部 薬理学講座(臨床薬理学部門))
座 長:
小居秀紀(公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター プロジェクトマネジメント部/モニタリング部)
シンポジスト:
稲田実枝子(九州大学病院 臨床研究推進部門)
シンポジスト:
飯塚維千子(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター)
シンポジスト:
西谷政昭(公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター)
シンポジスト:
山原有子(国立国際医療研究センター臨床研究センター)

平成27年4月より「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下、新指針)」が施行され、同年10月からは侵襲を伴う介入研究を行う場合においては、適切にモニタリングを実施するとともに、必要に応じて監査の実施が義務付けられることとなった。しかしモニタリング・監査の実施方法については、研究責任者の判断にゆだねられており、医療機関においては試行錯誤を重ねているのが現状と思われる。
現在、新指針施行に伴うモニタリングの実施では、データの質をどのように品質管理すべきか様々な疑問が実施現場から上がってくることが予想される。
例えば、
・モニタリングによるデータの品質管理とは、何を実施すればよいのか
・とりあえず医療機関を訪問してモニタリングをする(On-siteモニタリング)ことだけでよいのか
・モニタリングにはどういった手法があるのか
モニタリングは、収集した情報を元に中央で実施する集約データのモニタリング及び個別の医療機関、個別の患者のデータや医療機関で実施された手順などの確認を行うOn-Siteモニタリングの両軸で考える事がポイントである。また臨床研究の目的に合わせてモニタリング手法やモニタリングの項目、頻度を検討しなければいけない。
そこで、新指針によるモニタリングの義務づけが施行されて約1年となるが、いくつかの医療機関及び支援機関における実施経験を紹介し、モニタリングを実施する為の工夫、また問題点を共有できることを期待したシンポジウムにしていく。

シンポジウム11

9月19日(月・祝)13:10~14:40
「治験にかかるコストを考える ~適切な分業を目指して~」
座 長:
黒田 智(岡山大学病院 新医療研究開発センター)
座 長:
仁多見 理(帝人ファーマ株式会社 医薬事業本部 医薬第1開発部 (日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会))
シンポジスト:
仁多見 理(帝人ファーマ株式会社 医薬事業本部 医薬第1開発部 (日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会))
シンポジスト:
栁田洋一(国立国際医療研究センター 臨床研究支援部治験管理室)
シンポジスト:
黒田 智(岡山大学病院 新医療研究開発センター)
シンポジスト:
北山聡子(独立行政法人 国立病院機構本部 総合研究センター)

コストの適正化は「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」における課題の一つである。日本の治験はかつて遅い、質が悪い、高いと言われていたが、スピードと質はある程度の向上が見られたと考えられている。しかしコストに関してはこれまで取り立てて検討する機会も少なかったように思われる。具体的な適正化の内容として、2011年の治験等適正化作業班による「治験等の効率化に関する報告書」では、変動費として個々の症例の進捗度等による業務積上げに基づく費用算定、固定費の適切な割合設定、管理費・間接経費の透明化といった事項が求められている。特に何に対して支払われたコストかを明確にすることが重要でありその透明化が課題である。
一方で「治験等の効率化に関する報告書」では、医療機関における治験実施体制の整備と役割分担の適正化も求められている。具体的には医療機関で作成すべき資材のカスタマイズをモニターに要請していること等についての是正である。さらには、近年治験においてリスクに基づくモニタリングの実施のために医療機関における品質管理の重要性がますます高まっている。こうした状況に対応して、CRCアシスタントやローカルデータマネージャーといったCRC業務補助や品質管理に人員を割いて体制整備を行っている医療機関もある。治験依頼者と医療機関の適切な分業を目指す上では、特に医療機関における治験実施体制の整備が不可欠と考えられるが、本来行うべき業務とはいえ、未整備の医療機関にとっては体制整備や治験実施に人件費等のコストを増やして対応する必要があり、治験における適切な費用設定について苦悩している医療機関も多いと思われる。
コストの適正化への取り組みについて、治験依頼者側として日本製薬工業協会の調査結果および実際の複数の医療機関側の取り組み事例をもとに議論を行い、治験にかかるコストのあり方について、適切な分業のあり方を含めて議論したい。

シンポジウム12

9月19日(月・祝)13:10~14:40
「品質管理について正しく理解し実践するために」
座 長:
高杉和弘(日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会)
座 長:
榎本有希子(日本大学医学部附属板橋病院臨床研究推進センター)
シンポジスト:
大久保晋吾(クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社 品質保証部)
シンポジスト:
松下 敏(日本製薬工業協会医薬品評価委員会臨床評価部会(ヤンセンファーマ))
シンポジスト:
石橋寿子(アッヴィ合同会社開発本部・前聖路加国際病院)
シンポジスト:
宮田千恵子(株式会社EP綜合 品質管理部 品質管理課)

ICH-E6(ICH-GCP)の改訂作業が進んでおり、臨床試験において品質を管理するためのシステム(QMS:Quality Management System)の実装が要求され、本QMSにはRBA(Risk Based Approach)の概念を利用する旨が規定される予定である。また、近年、治験におけるモニタリングにおいてもRBAの概念を取り入れたRBM(Risk Based Monitoring)を積極的に導入する企業が増加しており、医療機関における品質管理の重要性は増してきている。
このように「RBA」や「QMS」など、臨床試験においては今まであまり馴染みのなかった用語をよく耳にする中で、CRC等医療機関の臨床試験業務に携わる者にとっては、臨床試験の品質を管理するために、院内に特別な組織・体制を新たに構築し、非常に複雑な手順により臨床試験を実施することにより、業務量が膨大になるのではと危惧しているかもしれない。
本シンポジウムでは、まずはISO9000シリーズや改訂予定のICH-GCPで提唱されている品質マネジメントの基本的な考え方を学ぶ。さらに、これらの基本的な考え方を理解した上で、すぐにでも取り組むことができる臨床試験における品質管理活動の事例を紹介する。最後にQMSに関して間違った認識をしているケースや本当に実践できるか不安に思っている声を解消するためにパネルディスカッション形式での議論を行う。
品質マネジメントとは特別なことではなく、医療現場では、以前より「ヒヤリハット活動」等リスクへの対応活動を行ってきた。本シンポジウムに参加することにより、CRCが品質管理活動のコーディネータとして活躍できるきっかけとなれば幸いである。

セミナー

セミナー

9月18日(日)9月18日(日)9:00~11:00
「CDISCで何が変わるの?」
座 長:
丸山由起子(公益社団法人日本医師会治験促進センター)
シンポジスト:
橋尾美穂(グラクソスミスクライン株式会社 開発本部 開発基盤・サイエンス部門 バイオメディカルデータサイエンス部)
シンポジスト:
大津 洋(国立国際医療研究センター臨床研究センター 医療情報解析研究部)

「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」(平成26年6月20日薬食審査発0620第6号)において、承認申請時のデータ提出について、Clinical Data Interchange Standards Consortiumの企画(以下「CDISC標準」)に準拠した形式での提出が求められ、「承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について」(平成27年4月27日薬食審査発0427第1号)では、平成28年10月以降の承認申請品目から電子データ受付けを開始するとしている(経過措置期間は平成32年3月31日まで)。
治験実施医療機関に勤務する医師、CRC等にとっては、最終的に厚生労働省に提出する承認申請時のデータ形式について、直接関与することはないが、電子データとして提出されるものはCRFにより収集されたデータが源になっており、それゆえ、CDISC標準について知っておくことは無駄ではないと考えている。医師、CRC等が、CDISC標準とは、どのような仕組みであり、利用することになった経緯やメリットなどを知ることにより、治験依頼者へ提出するCRFの重要性を再認識するとともに、治験実施医療機関における責務考える機会を作りたいと考えた。
一方で、アカデミア主体として行われる臨床研究についても、CDSICを導入することで試験の効率的な運用、信頼性の向上などが期待されることから、臨床試験実施体制の一部として導入する動きもある。
本セミナーでは、製薬企業の立場・医療機関の立場からの演者により、CDISCで何が変わるのかをわかりやすく解説したい。

ワークショップ

ワークショップ1

(定員制)9月18日(日)9:00~11:00
「治験を成功させるコーチングスキル~円滑に治験を進めるためにはどうすればよいか?治験開始までのプロセスをCRCとCRAで考える!~」
座長(ファシリテーター):
今野浩一(PM コンサルティング ポジティブインテンション)
座長(ファシリテーター):
吉田則子(プロジェクト・カウンセリング・オフィス cocokara)

日々の業務の中でトラブルの原因となることは何だろうと考えてみると、CRCとCRAのコミュニケーションエラーから生じる事が多いのではないでしょうか。リスクに基づいたアプローチが進められる中で、最もリスク因子として重要なのがコミュニケーションスキルである。そのため、過去のCRCと臨床試験のあり方を考える会議において、コミュニケーション及び傾聴に関するワークショップを開催してきたが、今回更なるステップとしてCRCとCRAの協働する為のスキルとしてコーチングスキルに関するワークショップを企画した。
ご存知の通り、円滑に治験を進める事ができるかどうかは、施設選定から契約までの期間にCRCとCRAがどれだけ質の高いコミュニケーションを取るかにかかっている。治験実施計画書の基準・手順の十分な理解、リスク因子の抽出と優先度評価、プロセスの作り込みと継続的な改善などの様々な局面においてコミュニケーションは非常に重要である。
本セッションでは、コーチングスキルをワークショップ形式で体系的に学び、CRCとCRAの協働作業をより効果的にするためのアプローチについて探求する。

ワークショップ2

(定員制)9月18日(日)9:00~11:00
「CAPAワークショップ」
座 長:
池原由美(琉球大学医学部附属病院臨床研究教育管理センター)
座 長:
筒泉直樹(アストラゼネカ株式会社QA Asia Pac.)

Corrective Action Preventive Action(CAPA)システムは、品質マネジメント手法の一つである。すでに品質マネジメントの国際規格であるISO9000シリーズやICH Q10で適用が求められているが、臨床試験のガイドラインであるICH E6(ICH-GCP)においても、次回の改訂(Addendum)でCAPAに関する記述が組み込まれる予定である。今後、Risk Based Monitoring の導入に伴い、医療機関にはこれまで以上に自立した品質管理体制が求められるが、CAPAの効果的な実行により、臨床試験の品質を継続的に維持・向上することが可能となる。これらの背景から、臨床試験におけるCAPAの具体的な手法を、短時間で効率的に共有する目的で本ワークショップを企画した。
CAPAシステムには、① 問題の根本原因の分析(Root Cause Analysis:RCA)、② 是正措置(Corrective Action:CA)の計画・実施、および③ 予防措置(Preventive Action:PA)の計画・実施という3つのプロセスが重要である。本ワークショップでは、最新のFDA Warning Letterで指摘された問題事例や、日常業務で直面することの多い案件を題材に、代表的なRCA手法(5 why、Fish bone等)を用いた根本原因の掘り下げと、具体的なCA/PAプランの作成をグループで行う。本ワークショップで得られるCAPAシステムに関する知識は、すぐに日常業務における品質管理に活かせると確信する。 本ワークショップは、以下の3つのパートから構成される。
品質マネジメントシステムとCAPA概論(レクチャー) RCAとCAPAの作成手順(レクチャー) CAPAを作ろう(グループワーク)

一般演題

ポスター討論(示説なし)

9月18日(日)13:20~14:20
9月19日(月・祝)11:20~12:20
共催セミナー
9月18日(日)
9月19日(月・祝)
運営事務局:株式会社日本旅行 ECP営業部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-18-19 虎ノ門マリンビル11階 TEL:03-5402-6401 FAX:03-3437-3944
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