第15回CRCと臨床試験のありかたを考える会議2015 in KOBE

~今、求められているもの~

会期

2015年9月12日(土)~13日(日)

会場

神戸国際展示場

会議代表

森下 典子(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 臨床研究センター 臨床研究推進部 臨床研究推進室)

プログラム・日程

タイムテーブル9月12日(土)   タイムテーブル9月13日(日)

特別企画

9月12日(土) 12:00~13:30 第1会場

『日本の臨床研究の「今」と「未来」~国民も巻き込んで議論しよう~』

座長 森下 典子 国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター
臨床研究推進部 臨床研究推進室
宮田 俊男 内閣官房 健康・医療戦略室/日本医療政策機構/国立病院機構大阪医療センター/京都大学産官学連携本部
SL: 宮田 俊男 内閣官房 健康・医療戦略室/日本医療政策機構/国立病院機構大阪医療センター/京都大学産官学連携本部
座談会出演者
椎葉 茂樹
井上 隆弘
左近 賢人
小橋 建太
山口 育子
中島 唯善
厚生労働省 大臣官房厚生科学課
文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課
大阪府立成人病センター
元プロレスラー
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
ビデオレター
清水 健 読売テレビ放送株式会社
概要
医学の発展や新しい治療を患者さんに届けるためには臨床研究は欠かせない。一方で被験者の命を守り、データの不正もないようにしなければならない。質の高い臨床研究を数多く実施するためには、医療者・国民・企業人・国がそれぞれの立場で期待される役割を遂行することが重要である。
政府も臨床研究の推進のために「健康・医療戦略推進法」を成立させ、「日本再興戦略改訂2014」「健康・医療戦略」「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」と様々な施策を打ち出している。また、今年4月からは日本医療研究開発機構(AMED)も新たに発足した。新しい医薬品・医療機器・再生医療やより良い診断・治療法を待ち望んでいる患者に還元できるための一層の仕組み作りを期待したい。そして、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」は3年目を迎え、少しずつ成果が見えてきている。
この企画では、今の日本の臨床研究の状況をしっかりと見据えた上で、日本の臨床研究に国民や患者は何を期待し、国や研究者、企業はどこを目指していくのかについて医療者・企業人・国民・国の4者で議論し考えてみたい。

シンポジウム1

9月12日(土) 12:00~13:30 第3会場

『医師主導臨床試験のプロジェクトマネジメント』

座長 笠井 宏委 京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター 開発企画部
丸本 芳雄 山口大学医学部附属病院 臨床研究センター
SY1-1: 総説:プロジェクト・マネジメントの概念と臨床試験への適用
今野 浩一 PMコンサルティング ポジティブ・インテンション
SY1-2: 医師主導臨床試験のプロジェクトマネジメント:プロジェクトマネージャーと協働する実施医療機関のCRCの立場から
深井 しのぶ 東京慈恵会医科大学附属病院 治験センター
SY1-3: 医師主導臨床試験におけるプロジェクトマネジメントの実際-セントラルの立場から
風見 葉子 北里大学臨床研究機構 臨床試験コーディネーティング部
SY1-4: 解説
今野 浩一 PMコンサルティング ポジティブ・インテンション
概要
研究の実施プロセスは、新しい知を創出するプロジェクトととらえることができる。臨床試験では、規模や企画者、該当する規制要件や指針による違いはあるにせよ、多種多様な人々が"プロジェクト"に関与する。プロジェクトの成功には、研究の企画から実施、結果の公表と実用化までのプロセスを、関与する人々それぞれが相応しく管理することが求められ、主管施設を中心とした協働が実現されなければならない。
本シンポジウムでは、はじめにプロジェクトマネジメントの概念について解説していただいた上で、プロジェクトマネージャーおよびプロジェクトマネージャーと協働するCRCから、医師主導臨床試験のプロジェクトマネジメントの実際、協働上生じやすい問題と対応方法についてご発表いただく。企業主導ではなく医師主導というプロジェクトの特性をふまえて、臨床試験の成功を実現する具体的なマネジメント方法を考察したい。

シンポジウム2

9月12日(土)12:00~13:30 第4会場

『臨床研究専門職のキャリア形成と現任教育』

座長 小島 薫 国立病院機構四国がんセンター 臨床研究推進部 臨床試験支援室
大靍 則安 久留米大学病院臨床試験センター
SY2-1: 臨床研究専門職に対する教育の現状と課題
小原 泉 自治医科大学 看護学部 / 附属病院 / 臨床研究支援センター
SY2-2: CRCの評価指標の検討―CRC用クリニカルラダー作成の試み―
荒屋敷 亮子 千葉大学医学部附属病院 臨床試験部
SY2-3: 倫理審査委員会事務局担当者の現任教育と本現任教育を担うにあたって活かされた専門職教育
山下 紀子 国立がん研究センター 研究支援センター 被験者保護室
SY2-4: SMOに所属するCRCに対する現任教育の現状と課題―新任者、指導者、管理者の相互成長を目指して―
大野 昌美 日本SMO協会/セーマ株式会社 SMO事業部、教育・研修室
概要
CRCやLDMをはじめとする臨床研究専門職に対する教育には、文部科学省や厚生労働省などが主催する養成研修、学術団体が主催するセミナー、所属組織での現任教育プログラムなどがある。成人は「経験から学ぶ」といわれ、日々の業務での経験を有機的な学習に結びつけることはキャリア形成に大きな影響を及ぼすため、所属組織における現任教育は重要である。
本シンポジウムは、CRCやLDMが所属する施設や企業における現任教育プログラムとキャリア形成に焦点をあてている。演者からは、臨床研究専門職に対する教育全般の現状、先駆的な取り組みをしている医療機関とSMOにおける現任教育の成果、臨床研究専門職としてキャリアを切り拓いてきたプロセスからみた現任教育の考察についてご発表いただく。それらを踏まえて、専門職に相応しいキャリア形成を実現する現任教育のあり方について議論を深めていきたい。

シンポジウム3

9月12日(土)15:15~16:45 第1会場

『CRCの真の役割とは?~海外との比較から考える~』

座長 松嶋 由紀子 慶應義塾大学薬学部 医薬品開発規制科学講座
是恒 之宏 国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター
SY3-1: Establishment of a comprehensive cancer clinical trials unit results in access to novel cancer treatments and improved patient outcomes
Steph Le Princess Alexandra Hospital, Australia
SY3-2: CRCの視点からみた、オーストラリアと日本の違い
吉谷 安紀子 慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター 臨床研究推進部門 CRC室
SY3-3: 治験事務局・CRC兼任者の視点からみた、オーストラリアと日本の違い
松田 恭子 国立病院機構大阪南医療センター 薬剤部・治験管理室
共催: 第一三共株式会社
概要
Global治験が増加している昨今、CRCには、これまでの「治験責任/分担医師の支援」に加え、施設内のデータの質の管理等、これまでになかった様々な役割が求められている。しかし、Sponsorからの様々な要求に、「本当にCRCが果たすべき役割なのか?」「海外ではどのように対応しているのか」と疑問を感じつつ対応しているCRCも少なからず存在すると思われる。そこで、本セミナーでは、オーストラリアのCRCに実際の役割とその業務内容を紹介してもらうとともに、現地でCRC業務を視察した日本のCRCが感じた両国間の違いを踏まえ、CRCの真の役割について議論する。

シンポジウム4

9月12日(土)15:15~16:45 第2会場

『CRCが実践すべきSite Managementとは?』

座長 日比野 文代 昭和大学病院 臨床試験支援センター
近藤 直樹 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 政策医療企画研究部 臨床研究・治験推進室
SY4-1: 適正なSite Managementを目指して(薬剤部門との連携)
吉岡 まみ 東京都健康長寿医療センター 治験事務局
SY4-2: 適正なSite Managementを目指して(検査部門との連携)
東影 明人 岡山大学病院 新医療研究開発センター 治験推進部
SY4-3: SMOにおける治験実施医療機関との連携(精度管理・温度管理・資料作成の協力を得るために)
遠藤 美和子 株式会社綜合臨床サイエンス 四国事業部 松山オフィス
SY4-4: CRCのSite Managementの実際とそのコツ
鈴木 由加利 新潟大学医歯学総合病院 生命科学医療センター
ちけんセンター部門
概要
Site Managementを適正に実施するためには、治験実施医療機関と治験依頼者との適切な関係は当然のこと、CRCにおける診療部門、看護部門、薬剤部門、放射線部門、検査部門、事務部門等、他部署との良好な連携は必要不可欠である。特に近年における国際共同治験の増加や、医師主導治験の必要性が高まるに従い、治験実施医療機関においては、臨床検査等の精度管理の確保、ALCOAの原則の周知・理解、治験デザインの複雑化等による治験薬のblindの維持等、他部署との連携を踏まえたSite Managementに対する重要性はますます高くなっており、CRCの果たすべき役割は大きいものとなっている。これは言い換えれば、他部門との連携が良好であれば、Site Management を適正に実施することができると言っても過言ではないということを意味するものと考えている。
そこで、本セッションでは、最近の治験の動向も鑑み、適正なSite Managementに向けて、CRCと他部門との間において、どのような連携や工夫を行っているのか、実例を通して、シンポジストに紹介していただき、そのノウハウや問題点等を共有し、多くの方々と意見交換できればと考えている。

シンポジウム5

9月12日(土)17:00~18:30 第2会場

『信頼できる臨床試験に必要なResearch integrityとCommunication~データ改ざん事件から学ぶ教訓と再発防止策~』

座長 中野 重行 大分大学/臨床試験支援財団
榎本 有希子 日本大学医学部附属板橋病院 臨床研究推進センター
イントロダクション
中野 重行 大分大学/臨床試験支援財団
SY5-1: データ改ざん事件におけるCommunicationの課題と対策
榎本 有希子 日本大学医学部附属板橋病院 臨床研究推進センター
SY5-2: 現場のCRCとして
池田 江里 フェアリーベン株式会社
SY5-3: 信頼性確保のためのSMOの取り組み
谷口 隆雄 日本SMO協会
SY5-4: 製薬企業・SMO・医療機関がより良い関係を築くために
近藤 充弘 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
概要
治験における身長データ改ざん事件は、全てのCRCにとって他人事ではなく、「誰にでも身近で起こるかもしれない自分事」としてとらえる必要がある。臨床試験においては、倫理性・科学性・信頼性を確保するとともに、円滑化を図り、より早く試験を完遂することが関係者に求められている。そのためには、医療機関・SMO・CRO・製薬企業が、それぞれの役割を全うしつつ、目標達成のために「協働」することが重要である。協働とは「目標を共有して力を合わせて活動する」ことであるが、異なる役割を担う者の間だけでなく、同じ役割を担う者の間でも同様である。
データ改ざん事件が生じた原因のひとつに、協働すべき者同士の間での情報の共有、つまりCommunicationが適正に行われなかったことがあげられる。CRCにとって重要な資質のひとつである「Communication Skill」は、被験者の保護という倫理性の確保に大きく貢献しているが、臨床試験の科学性や信頼性の確保においてもキーとなる。 本シンポジウムでは、データ改ざん事件をひとつの題材として、再発防止に向けて、信頼できる臨床試験に必要なResearch integrityとCommunicationについて、臨床試験に関わるすべての人たちがお互いの立場を理解したうえで、CRCと一緒に考える機会としたい。

シンポジウム6

9月12日(土)17:00~18:30 第4会場

『臨床試験関係者(医師やIRB委員)の教育に必要なこと ~何を、どのように学ぶのか?~』

座長 渡部 歌織 東京大学医学部附属病院 臨床研究支援センターサイト管理ユニット
荒川 義弘 筑波大学 つくば臨床医学研究開発機構
SY6-1: 臨床研究支援のための人材育成について
手島 英雄 文部科学省 高等教育局 医学教育課 大学病院支援室
SY6-2: 研究者等の教育-意識付に繋がる教育用教材製作の試み-
川島 弓枝 滋賀医科大学医学部附属病院 臨床研究開発センター
SY6-3: 医師や倫理委員会委員への教育について:体験型教育の実践報告
楠瀬 まゆみ 東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
SY6-4: FERCAP(アジア太平洋地域倫理委員会フォーラム)の活動とその認定プログラムの特徴
平山 謙二 長崎大学熱帯医学研究所
概要
いよいよ4月より施行される「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では、研究者や倫理審査委員会の委員、またその他の関連スタッフに関しても教育や研修の実施が必要であることが規定された。特に研究者等に関しては、「研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。」と記載されている。「倫理」「知識」「技術」には実にさまざまな内容がありますが、それらを自施設のスタッフに対し試験を行う上での各役割に応じてバランス良く学んでもらうためには、どのような方法が望ましいのだろうか。
本シンポジウムでは、臨床試験の関係者に対して教育を行う上で、何が少なくとも必要であり、そのためにはどのような教育用ツールやシステムが必要であるかということを、指針改訂となった背景も踏まえながらご発表頂く。また、具体的な事例として、過去の反省より一層の対策を既に講じられてきた御施設での事例をご紹介頂き、上記について議論したい。

シンポジウム7

9月13日(日)8:45~10:45 第1会場

『今、臨床研究に求められるResearch Integrityとは』

座長 山本 晴子 国立循環器病研究センター 先進医療・治験推進部
楠岡 英雄 国立病院機構大阪医療センター
SY7-1: 臨床研究は誰のものか
花井 十伍 全国薬害被害者団体連絡協議会(大阪HIV薬害訴訟原告団)
SY7-2: 臨床研究のResearch Integrity
楠岡 英雄 国立病院機構大阪医療センター
SY7-3: Research Integrityと被験者保護
松井 健志 国立循環器病研究センター 医学倫理研究室
SY7-4: CRCからみたResearch Integrity
森下 典子 国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター 臨床研究推進部 臨床研究推進室
指定発言
浅井 文和 朝日新聞東京本社 科学医療部
概要
Integrityとは、一般に高潔・誠実・清廉の意であって、人間の考えや行為の正しさの指標の一つと考えられる。しかし、Research Integrityというとき、その具体的な意味について一言で説明することは難しい、と誰もが感じるだろう。しかし、「臨床研究の考え方ややり方の正しさの指標」と考えてみれば、毎日の業務の中で行っている事柄ひとつひとつがResearch Integrityに結びついているのではないだろうか。本シンポジウムでは、研究を実施する医師、被験者や一般市民、さらにCRCなど支援スタッフのそれぞれの視点から Research Integrityの実現のために今求められることを議論していきたい。

シンポジウム8

9月13日(日)14:15~15:45 第1会場

『臨床試験・治験のインフォームド・コンセント~どう伝えていますか?どう伝わっていますか?~』

座長 有田 悦子 北里大学 薬学部 薬学教育研究センター 医療心理学部門
北澤 京子 京都薬科大学
SY8-1: 患者の権利擁護と治療の最前線:インフォームド・コンセント
眞島 喜幸 特定非営利活動法人パンキャンジャパン
SY8-2: 被験者・家族の「思い」を知る
中田 はる佳 国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 知的資産部/東京大学 医科学研究所 公共政策研究分野
SY8-3: インフォームド・コンセントのための説明文書のわかりやすさ
野呂 幾久子 東京慈恵会医科大学 人間科学教室 日本語教育研究室
SY8-4: 患者にとってベストな説明を探求し続けて~CRC15年間の経験から~
石橋 寿子 聖路加国際病院 研究センター 研究管理部
概要
「治療」目的で医療機関を受診している患者に、「研究」である臨床試験や治験に被験者として参加してもらう際は、その前提として、臨床試験や治験について、患者が十分な情報を得た上で、納得して参加してもらうことが欠かせない。本シンポジウムでは、臨床試験・治験についての情報を、医療職(CRC)がどのように伝えているのか、また、その情報が、患者にどのように伝わっているのかについて、各シンポジストから話題提供していただき、被験者のインフォームド・コンセントにCRCが支援できることは何かについて、改めて考える。
《Take home message》治療の延長線上にしか臨床試験を考えられない患者がいることは確か。それでも臨床試験・治験は「まだ分かっていないことを分かるようにする」ために行われるものなのだから、CRCの皆様も、その点を患者(被験者)にも分かってもらえるような情報提供に努めよう!

シンポジウム9

9月13日(日)14:15~15:45 第3会場

『被験者ケアのためのリサーチナースとCRCの協働』

座長 小原 泉 自治医科大学 看護学部/大学院看護学研究科
井部 俊子 聖路加国際大学
SY9-1: 臨床研究看護の概念とリサーチナースの役割:国内外の動向と今後の展望
藤原 紀子 University of California San Diego Extension, USA
SY9-2: 被験者ケアのためのリサーチナースとCRCの協働―臨床研究看護/リサーチナースの立場から
松田 夕香 札幌医科大学附属病院 看護部 外来化学療法室
SY9-3: 被験者ケアのためのリサーチナースとCRCの協働~CRCの立場から~
山岸 美奈子 国立精神・神経医療研究センター 臨床研究推進部 臨床研究・治験推進室
SY9-4: 被験者ケアのためのリサーチナースとCRCの協働:研究者の立場から
山本 晴子 国立循環器病研究センター
概要
近年、被験者ケアについて、臨床看護の立場で、専門的知識と科学的センスをもって「被験者の看護」が:出来る人/リサーチナースの役割が注目され、米国ではNIH臨床センターやOncology Nursing Societyを中心に臨床研究看護/リサーチナースの概念が打ち出されている。しかし我が国おいては日本がん看護学会のSpecial Interest Group(SIG)を除いて組織化された活動はなく、個々の活動や組織の考え方に依存しているのが現状であったことから、「被験者を十分にケアしつつ、信頼性の高いデータを確保するために重要な存在であるリサーチナーシングの概念」を広める有識者による検討が最近進められている。リサーチナースがCRCと協働することにより、被験者に対する手厚いケアの実現が期待できる。
本シンポジウムでは、はじめに臨床研究看護の概念とリサーチナースの役割に関する国内外の動向と今後の展望について講演戴く、次に、CRC、研究責任者、臨床看護師の立場から被験者ケアのための協働について発言して戴く。最後に講師、演者およびフロアの方々も交えてディスカッションを行い、リサーチナースとCRCの役割や機能の違いについて理解を深め、被験者ケアのための多職種協働に関する今後の展望を見出したい。

シンポジウム10

9月13日(日)14:15~15:45 第4会場

『臨床研究、何が変わる?どう動かす?? ~統合指針施行後の自主臨床研究の実施状況についての実例紹介~』

座長 福谷 美紀 国立がん研究センター 研究支援センター 研究企画部 企画支援室
金田 歩 株式会社ベル・メディカルソリューションズ 臨床開発本部
臨床研究グループ
SY10-1: 医療機関としての指針対応
山本 洋一 大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部 未来医療センター
SY10-2: 医師主導臨床試験におけるRisk-based Monitoringの現状
小居 秀紀 先端医療振興財団 臨床研究情報センター
SY10-3: 臨床研究の信頼性確保におけるデータマネジメントの重要性
渡辺 敏彦 日本CRO協会
SY10-4: 臨床研究における企業と医療機関等との関係の透明性確保
花輪 正明 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会
SY10-5: 臨床研究に関する武田薬品の取り組みについて
溝口 裕章 武田薬品工業株式会社 ジャパンファーマビジネスユニット
コンプライアンス制度 管理グループ
概要
近年の研究の多様化に伴い、疫学研究並びに臨床研究に関する倫理指針の適用関係が不明確になってきたことや、研究をめぐる不正事案が発生したこと等を踏まえて見直しの検討が行われ、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」として両指針を統合された所である。しかしながら今後も法制化やICH-E6の動向等、未だ方向性は明確ではなく長期的なwatchingが必要である。そのような状況下でも研究を進めるべく、「将来の方向性を見据えて、今、何をすべきか」を実務者レベルで現状の問題点を踏まえて議論を行い、事例の共有化を行う事で、研究の質の向上・適正化を図る

教育講演1

9月12日(土)15:15~16:45 第3会場

『治験に関する国際的基盤の変化について(ICHの動向)』

座長 今井 康彦 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
EL1-1: ICHとは何か?-この活動と日本に与える影響について
安田 尚之 医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部
EL1-2: ICH-E6(R2)議論と国内に及ぼす影響について-規制当局担当者として
酒井 亮祐 医薬品医療機器総合機構
EL1-3: 治験に関する国際的基盤の変化について―ICH-E6(ICH-GCP) 改訂に向けて―
松下 敏 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
EL1-4: ICH-E17は国際共同治験の新しいパラダイムを与えるか?
小宮山 靖 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 データサイエンス部会
概要
治験関係者にとってICHは認知度が高いが、ICHでどのような活動が行われ、またそれが各国の規制にどのように反映されるかのプロセスは、直接に関わる者以外にはあまり知られていない。ICHでの議論結果は、将来の治験に関する規制制度に影響を及ぼすところ、ICHの基本と未来像、臨床研究・治験実務等に影響を与える点を紹介し、将来の対応イメージを増加させることにつなげる。
①ICHの成立の経緯、トピック化から各国規制へ反映されるプロセス等の概説と、今後の方向性について紹介
②E6の改定項目と治験関係者が今後とるべき対応、それに向けた規制側・製薬協の対応・準備状況について紹介
③E17検討の背景と進捗、具体的な考慮点等について紹介

教育講演2

9月12日(土)15:15~16:45 第4会場

『正しい知識を身につけよう!臨床研究・治験の新たなルール』

座長 片木 美穂 卵巣がん体験者の会スマイリー
石橋 寿子 聖路加国際病院 研究センター 研究管理部
EL2-1: 臨床研究をめぐる行政の動きについて
神ノ田 昌博 厚生労働省 医政局 研究開発振興課
EL2-2: 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」について -解説-
藤原 康弘 国立がん研究センター 企画戦略局
EL2-3: 再生医療等に関する臨床研究の新しい規制の枠組み~再生医療等安全性確保法と認定再生医療等委員会
岡田 潔 大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部
EL2-4: 医薬品・医療機器等法の施行を踏まえた今後の展望
宮田 俊男 日本医療政策機構
概要
2014~2015年にかけて、臨床研究・治験を取り巻く制度が大きく様変わりした。 2015年4月からは「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が施行されている。従来の「疫学研究に関する倫理指針」と「臨床研究に関する倫理指針」が統合され、倫理に関する指針を示すのみでなく、臨床研究の質の担保に関することも初めて含められた。
また、昭和18年以来、耳馴染んできた「薬事法」という名称が2014年に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる薬機法)に変更されている。薬機法では、医療機器が医薬品と区別され新たな項が設けられ、診断等に用いる単体プログラム(ソフトウェア)を医療機器として取り扱うことも明確化されている他、「再生医療等製品」が定義付けされた。また、再生医療分野については、「薬機法」だけでなく、2014年からは「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」も新たに制定されている。
この教育講演では、臨床研究・治験に関わる人々が科学的・倫理的に質の高い臨床研究・治験を実施していくために、国がどのような取組みを行っているのか、そして新たに制定された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」、「再生医療新法」、「薬機法」についての正しい知識を獲得し、医療機関として今後何を行う必要があるのかを理解することを目的としている。Beginnerは基礎力を養い、上級者は倫理指針や法律が改正または制定された背景とその概要を学ぶことで、自己の責務と役割について改めて考えてみる機会としたい。

教育講演3

9月13日(日)11:00~12:00 第3会場

『医療機関における医療機器治験の流れ~医薬品との違いを中心に~』

座長 田尻 睦子 国立循環器病研究センター 先進医療・治験推進部
平瀬 佳苗 国立循環器病研究センター 先進医療・治験推進部
EL3-1: 『医療機関における医療機器治験の流れ~医薬品との違いを中心に~』
鈴木 和雄 日本医療機器産業連合会 臨床評価委員会
EL3-2: 『医療機関における医療機器治験の流れ~医薬品との違いを中心に~』
谷岡 寛子 日本医療機器産業連合会 臨床評価委員会
概要
これまで医療機器治験を経験したことがないCRCや事務局担当をターゲットとして、治験全体の流れの中で医薬品治験との違いを理解していただくことを目的とする。
講演内容としては、全体像~治験開始前~治験中~治験終了後の一般的な流れの中で、例えば以下のような医療機器特有のポイントを抽出して、より詳しく説明する。
【全体像】医療機器開発、フェーズ名称、治験デザイン、依頼者の治験経験値、機器治験に対する施設の対応状況(薬剤管理室に該当するものがないなど)
【開始前】SOP、保険外併用療養費、(大型)機器搬入、危機管理、操作トレーニング
【治験中】プロクター、不具合、同意取得・撤回、治験機器の故障時の対応(修理、代替機の準備)
【終了後】治験機器の廃棄・引取り

教育講演4

9月13日(日)12:15~13:15 第2会場

『統計家のプロトコールの読み方』

座長 山下 紀子 国立がん研究センター 研究支援センター 被験者保護室
EL4 統計家のプロトコールの読み方
山本 精一郎 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター
保健政策研究部
概要
臨床研究は、その目的達成のために、「生物統計学」を用いて適切な科学的原則に従ってデザインされ、実施・解析される。したがって、「生物統計学」の考え方を理解した上で、臨床試験計画書を読むと、試験の背景やデザイン、症例数の設定、エンドポイント等をより深く理解でき、臨床現場でデータを収集する際にも、「何のためにデータを収集するのか」「収集したデータがどのように解析に使われるのか」を考えることができる。本講義では、臨床試験実施計画書を理解し、CRCが被験者から収集する「データの意義」を考えて業務を行うために必要な「生物統計学」の知識をわかりやすく講義いただく。

セミナー1

9月12日(土)14:00~15:00 第3会場

『IT化~ここまでやってます!!~』

座長 山本 景一 大阪大学大学院 医学系研究科 臨床統計疫学寄附講座
丸山 由起子 日本医師会 治験促進センター 研究事業部 企画開発室
SE1-1: 臨床研究に対して電子カルテをどのように利用するか
横井 英人 香川大学医学部附属病院 医療情報部/香川大学医学部附属病院 臨床研究支援センター
SE1-2: リモートSDVの活用 ―汎用性の高いリモートSDVの導入事例―
井上 和紀 ACメディカル株式会社
SE1-3: 治験手続きの電磁化実装に向けた検討と現在の実装状況
藤岡 慶壮 日本製薬工業協会 臨床評価部会
概要
臨床研究・治験においてITをうまく利用することは、臨床研究・治験の効率化や円滑な実施には不可欠であり、更には臨床研究・治験における Research Integrity確保の1つの手段ともなりうる。また、昨今ITは、専門家だけが使うのではなく、事務局、CRC、モニターなど臨床研究・治験に携わるスタッフや研究者が容易に使える技術開発やIT実用化に向けた研究が行われている。一方で、IT化が必要不可欠であると理解しつつも、IT化の壁を高く感じ、実際にどうすればいいのか、何から始めればいいのかわからず悩んでいる臨床研究・治験に携わるスタッフや研究者も多い。そこで、話題の軸を「EDC、リモートSDV、治験関連文書の手続き」においた IT化の取り組みについて紹介し、IT化への高いと感じていた壁を壊し、IT化は自分達にとって身近であり利用できるものであることを理解する。

セミナー2

9月12日(土)17:00~18:30 第1会場

『国際共同治験におけるGCP適合性調査について』

座長 安田 尚之 医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部
中島 唯善 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
SE2-1: FDA査察の経験
宮中 桃子 広島大学病院 総合医療研究推進センター
SE2-2: 欧州のGCP適合性調査に向けた企業の準備
古川 浩司 バルティスファーマ株式会社 薬事・信頼性保証本部
ディベロップメントクオリティアシュアランス部
SE2-3: 各国における信頼性保証-欧米当局の査察に関して
小沢 仁 医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部
SE2-4: GCP適合性調査における各国共通化に向けた対応
安田 尚之 医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部
概要
近年、国際共同治験の増加に伴い、GCP適合性調査において、欧米を中心に各国当局からの信頼性調査を受けることが増加してきている。本セミナーでは、国際共同治験において、日米欧のGCP適合性調査の状況を認識するとともに、各国の調査の力点の違い可能性の理解を促進し、日頃の業務に活かす。
①施設側から欧米の調査経験と、経験に基づき変更した院内対応等を紹介
②各国での信頼性保証に関する状況を紹介する(PMDA調査結果)
③GCP適合性調査に関する各国共通化に向けた諸問題と状況を紹介

セミナー3

9月12日(土)17:00~18:30 第3会場

『知らなかった!研究だけじゃ終わらない?患者と研究をつなぐ『患者レジストリー』で未来を変える ~私たちが知っておくこと、考えること~』

座長 中村 治雅 国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部  臨床研究支援室
鶴丸 雅子 長崎大学病院 臨床研究センター
SE3-1: 臨床研究・治験における患者レジスリーとは?その必要性と意義、現状について
中村 治雅 国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部  臨床研究支援室
SE3-2: 適切な患者レジストリーの運営および現在の課題
森田 瑞樹 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科
SE3-3: 希少難病HAM患者レジストリー「HAMねっと」の臨床研究・治験への応用
~運営事務局の立場から~
山野 嘉久 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター 病因・病態解析部門
SE3-4: 多施設共同ALS患者コホート「JaCALS」に携わるCRCの立場から
中野 春美 株式会社CTD
概要
近年、臨床研究・治験における患者レジストリーの活用が注目されており、特にがん領域、小児疾患、希少・難治性疾患等では、その重要性が高まっている。臨床研究・治験活性化5か年計画2012においても、「臨床研究・治験における症例集積性の向上」および、「開発が進みにくい分野への取組の強化」の目標に対するアクションプランとして、「患者レジストリーの構築・利用」が掲げられている。
しかし、患者レジストリーには、患者にとって機微性の高い個人情報が蓄積されているため、正しく構築・運用するためには多くの課題がある。患者のプライバシーの取扱い、同意取得、特に包括同意を含む問題、研究成果の帰属など、臨床研究のintegrityに関わる問題が多数含まれている。
一方、患者レジストリーは、患者自らがその構築に協力する体制を含むため、患者の研究に対する当事者意識が芽生え、患者と研究の距離がとても緊密なものになると考えられる。さらに、この活用が広がることは、臨床研究にとどまらず、未来の医療を大きく変える可能性を秘めている。
本セミナーでは、そもそも患者レジストリーとは何かという概念から、必要性・意義および現状、その適切な構築・運用および課題を知ることからはじめる。その上で、実際の患者レジストリーの実例、患者レジストリーを利用した臨床研究・治験における運営事務局・CRCの立場からの経験を踏まえて、患者レジストリーの活用について考えたい。

セミナー4

9月13日(日)8:45~10:45 第3会場

『初級CRCセミナー
~日々のCRC業務が、Research Integrityにつながることを理解しよう~』

座長 柏熊 留里子 川崎市立多摩病院 治験管理室
鈴木 千恵子 浜松医科大学医学部附属病院 臨床研究管理センター
SE4-1: Research integrityを確保した臨床試験を実施するために治験責任医師がCRCに求めること
山下 竜也 金沢大学附属病院 地域医療教育センター/金沢大学附属病院 消化器内科
SE4-2: CRCができる"Research Integrityへの貢献"
後澤 乃扶子 国立がん研究センター 研究支援センター 研究管理部 研究管理課
SE4-3: "治験に参加する被験者への配慮"の考え方について
佐藤 啓 日本薬剤師研修センター
SE4-4: 治験の補償と賠償
友平 裕三 大塚製薬株式会社 メディカル・アフェアーズ部
SE4-5: 個人情報保護法と臨床研究
日野 優子 ブリストル・マイヤーズ株式会社/第一東京弁護士会
概要
CRCは、試験担当医師や、院内スタッフより、試験薬概要書や試験実施計画書の内容等、様々な事項についての問い合わせをうける。しかし問い合わせの回答にあたり、試験実施計画書上で定められている事項のみならず、その背景にあるGCPや通知等の各種規制を理解していなければ、Research integrityを確保した適確な回答を行うことはできない。本セミナーでは、最初に、Research integrityを確保した臨床試験を実施するために、CRCに何を求めるのかを、試験責任医師の立場からお話しいただいたのち、各演者の講演及び参加者から寄せられる質問への回答により、CRCが適確に臨床試験・治験のコーディネートを実践するために必要な各種規制を学ぶ。また、これらの学びにより、初級者CRCが、各種規制を遵守して日々の業務を行うことがResearch Integrityの確保につながることを理解することを目標とする。

セミナー5

9月13日(日)12:15~13:15 第1会場

『革新的医療機器開発の最前線~ロボットスーツがもたらす医療応用の可能性~』

座長 土江 宜子 国立病院機構本部 総合研究センター 治験研究部 治験推進室
SE5: ロボットスーツがもたらす医療応用の可能性:HAL-HN01の多施設共同医師主導治験の実施経験から
中島 孝 国立病院機構新潟病院
概要
政府は「アベノミクス」の成長戦略の1つとして、医療関連産業の活性化を掲げており、昨年11月には薬事法を改正し、革新的な医療機器開発への期待はますます高まっている。そして、言うまでもなく革新的な医療機器開発を何よりも待ち望んでいるのは、様々な疾患によりQOL低下を余儀なくされたり、時には生命維持にも関わってくる患者さんやそのご家族であろう。
このセミナーでは、ロボットスーツHAL®を用いた医師主導治験の調整医師である中島先生より、革新的医療機器開発の最前線についてご紹介していただき、普段は医薬品開発の支援に携わることが多いCRCに、医療機器開発の重要性やその醍醐味について理解してもらう機会としたい。

セミナー6

9月13日(日)14:15~15:45 第2会場

『Risk Based Monitoring』

座長 笠井 祥子 東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床試験管理センター
藤井 あゆみ 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
SE6-1: RBM実施のために医療機関に求めること(実践編)
大塚 哲史 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
SE6-2: データマネジメントにおける品質管理
鈴木 ゆかり 日本大学医学部附属板橋病院 臨床研究推進センター
SE6-3: 武田薬品でのRBMパイロット運用と結果について
松田 幸大 武田薬品工業株式会社 日本開発センター 臨床開発部
SE6-4: RBMパイロットトライアルを通じて得られたこと(CRCが出来る取り組み)
柴田 仁美 ノイエス株式会社
概要
近年RBM(Risk Based Monitoring)の議論が活発になってきているが、実際に対応しようとしている医療機関では、RBMの導入に対し、「今までの手法とどのように違うのか」「どのようにすればRBMが取り入れられるのか」といった、とまどいの声を聴くことがある。
RBMの手法についてはまださまざまな検討がなされている段階であるが、医療機関のとまどいの要因のひとつに、治験依頼者と医療機関が持つべき共通理解が不十分である可能性が考えられる。たとえば、治験依頼者には「品質管理」に関する専門部署が存在し、日常業務の中で「品質管理」という単語が当たり前に使用されている。一方、医療機関では「品質管理」専門の担当者がいるケースが少ないのはもちろん、そもそも「品質管理」という単語自体が比較的耳に新しく、治験依頼者に提示される「品質管理」を行うには特別な対応が必要であるように誤解してしまうかもしれない。しかし、医療機関において「自己チェックを行う」「ミスが発生しないように予防策を取る」「ヒヤリ・ハット事例への対応策を検討する」等の日常的に実施している内容も、「品質管理」活動の一環であると認識すれば、必ずしも特別な対応が求められているわけではないことがわかる。
また、治験依頼者の説明が不十分であるために、医療機関に過度の負担が生じている可能性も鑑み、両者の協議に際しては、まず、「品質管理」について互いの認識をすり合わせるところからスタートしなければならない。
本セッションでは、最初に、治験依頼者が医療機関に求めていることを解説し、「RBMの導入にあたって治験依頼者が求めることは、医療機関が通常なすべきことと変わらない」という共通理解を構築したい。その上で、理解をさらに深めるため医療機関において実際に品質管理体制を構築している事例や、RBMのパイロット運用の経験を通じて得られた人員等が十分でない小規模医療機関でもすぐに利用できるノウハウ・参考情報等を紹介する。
治験依頼者が求める「プロセス重視の意義」とRBM議論の背景を正しく理解することで、現場で生じる認識の違いを解きほぐし、両者がwin-winの関係を構築するための一助としたい。本セッションに参加しRBMに対する不安を解消し、明日からの業務に役立つヒントを一つでも持ち帰っていただき、周りにも広めていただければ幸いである。

演習

9月13日(日)8:45~10:45 第4会場

『研究と診療の違いを考える:事例から学ぶ被験者心理と研究倫理』

ファシリテーター
有田 悦子 北里大学 薬学部 薬学教育研究センター医療心理学部門
PR-1: なぜ研究と診療の区別が問題になるのか
田代 志門 国立がん研究センター 研究支援センター 生命倫理室
PR-2: 患者は何を想って臨床試験に参加するのか
有田 悦子 北里大学 薬学部 薬学教育研究センター医療心理学部門
概要
患者が医療に期待することは"治療"であり、その期待を抱いたまま臨床試験へ参加した患者に"治療という誤解"(therapeutic misconception)が生じるのは自然である。
日常診療と臨床試験ではインフォームドコンセントの目的や手法が異なるにも関わらず、主治医から説明を受けた患者が臨床試験をより良い治療方法として受け止めてしまう背景には、被験者心理だけでなく医療者側の研究倫理に対する理解の問題も隠されている。
そこで本セッションではインフォームドコンセントに関する具体的な事例をもとに、被験者心理や研究倫理について理解を深め「研究と診療の違い」を考える。
本セッションはビデオ教材を用い、講師からのレクチャーのほかワークやディスカッションを交えた演習形式で行う。
「研究倫理について理解を深めたい」、「日常業務の中で倫理的葛藤を感じている」、「インフォームドコンセントに苦慮している」など、立場や経験を問わず多彩な方々に参加していただき、改めて「臨床試験のIntegrityのあり方」を考える機会としたい。

公募シンポジウム

9月13日(日)11:00~12:00 第4会場

『試験チームの一員としてプロトコル立案にCRCが関与できたら』

座長 佐々木 由紀 北海道大学病院 臨床研究開発センター
青野 寛之 クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社 臨床開発事業本部 クリニカルオペレーション統括部
PY-1: 治験実施計画書のあり方~治験依頼者の考えと取り組み~
藤岡 慶壮 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
PY-2: プロトコールや手順書等の『はてな?』について考える
山崎 純子 神戸大学医学部附属病院 臨床研究推進センター CRC室
PY-3: CoLAB – Collaborative engagement with external partners for clinical trials –
澤木 勝志 日本イーライリリー株式会社 臨床開発部
概要
臨床研究や治験の実施において、プロトコルを遵守することは質の高いデータを確保できるとともに、何より被験者の安全性を守る上で大変重要である。CRCは試験協力者として研究の「倫理性・科学性・信頼性」を確保するために日々業務を行っているが、予期せぬプロトコル逸脱を起こしてしまうことがある。その原因として、臨床の現場と乖離した手順や、そもそもの設定が物理的に難しいスケジュールであること、プロトコルと各手順書の不整合などが散見され試験を遂行しがたい等がしばしばあると感じている。
一方で、プロトコル作成者の意図がモニター等の第三者を介すことによって、現場には伝わらず齟齬が生じることもある。
CRCもプロトコルを理解する過程の中で、その手順にのみ注視し、プロトコルの文言に惑わされ、「臨床試験だから・・・」、「治験だから・・・」という理由で、通常診療の流れと異なり、病院におけるリスク管理から外れた行為を実施する可能性も否めない。
そこで今回、製薬会社がどのような思いで被験者の安全や試験の科学性を確保しようとしているかを理解し、また、CRCがプロトコルを遵守して進めるために、臨床の場でどのようなリスクを感じているのか、双方の考え方を共有できる機会があれば良いと考えた。
将来的には治験依頼者とCRCがプロトコル作成段階で意見交換を行う機会が増え、臨床の流れも考慮したプロトコルが作成されると、臨床研究・治験の質はもっと向上し、医療機関や被験者にも受け入れやすいものになるのではないだろうか。そして、CRCの意見が反映されたプロトコルが作成されると、試験チームとして成功させたいという気持ちもより強く持てると考えている。
ぜひ、治験依頼者・CRC双方からの評価も含めて、意見交換を行い、質の高いデータが収集でき、かつ被験者の安全性が確保されるプロトコルについて、考えてみたい。

ミニ上映会『Rare』

概要
患者さんは、新たな治療方法を待ち望んでいることは言うまでもない。新たな治療方法を開発するためには臨床研究が必要であるが、特に、患者数が少ない希少疾病の場合、実施が困難な場合が多い。
この問題に立ち向かい、自ら研究者と協働し同じ病気の患者さんを探し、臨床試験の実施を実現させたヘルマンスキー・パドラック症候群の患者さんのお母様の活動が、スタンフォード大学によりドキュメンタリーフィルムにまとめられている。本フィルムでは、患者さんや患者さんのご家族自らが、なぜ臨床試験に参加するのか、また、自分が飲んでいる治験薬がプラセボだとわかった時、また、参加した臨床試験で治験薬の有効性が確認できなかった時、どのように感じたのか等々、多くの興味深い内容が取り上げられている。
<英語版のデモ版は、閲覧可能http://medethicsfilms.stanford.edu/films/rare.html、又は
https://www.youtube.com/watch?v=kC6j-Of55rw

本フィルムをみて感動した当時中学3年生の女の子が、このフィルムを、日本の多くの方に見てほしいと、日本語訳の作成について映画の主人公とその娘さんやFilm Makerと交渉し、翻訳プロジェクトチーム「Dream Bridge」を立上げた。現在、このチームでは、製薬企業、CRO、CRC、アカデミア所属の多くの臨床研究関係者がボランティアで翻訳作業を行っており、本会議までに翻訳版が完成する予定である。

本会議でこのフィルムを上映することで、参加者に、臨床試験に参加する患者さんの思いや、本来の臨床試験の目的を実感して頂きたい。

共催セミナー1

9月12日(土) 14:00~15:00 第1会場

『臨床研究におけるモニタリングとその信頼性保証の考え方 ~臨床研究のモニタリングは誰が行う?相互モニタリングとは??実態と課題~』

座長 鈴木千恵子 浜松医科大学医学部附属病院 臨床研究管理センター
CS1-1: CRCによる相互モニタリングの実施について
安藤 幸子 名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター 看護部
CS1-2: 臨床研究における信頼性保証の在り方
萩村 一人 慶應義塾大学医学部 臨床研究推進センター モニタリング室
CS1-3: CROとしての関わりについて
畑中  究 株式会社ベル・メディカルソリューションズ 臨床開発部臨床研究グループ
共催: 株式会社ベル・メディカルソリューションズ
概要
平成27年4月1日から施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」では、本年10月1日からモニタリングの実施が義務づけられた。しかし、本指針の対象となるような臨床研究(侵襲を伴い介入を行う)におけるモニタリングの実施水準や、具体的な方法論に関しては関係者間でも十分なコンセンサスが得られていない。
また治験と比べた場合、必ずしも十分な資金が整った環境下で実施できない臨床研究において、効率的にどのようなモニタリングを行うのかが大きな課題となっている。このような状況下においても既に様々なアプローチが開始されており、現実的にはCRCがモニタリングを行う事例がある。
本セミナーでは、このようなモニタリングの現状や問題点を共有し、事務局機能やDM機能と共に臨床研究の信頼性保証を実現すべく、今後どのようなアプローチが必要なのかを 議論する。

共催セミナー2

9月13日(日) 12:15~13:25 第3会場

『私たちでもできる!~治験の啓発活動・治験の手続き効率化~』

座長 丸山由起子 日本医師会 治験促進センター 研究事業部
CS2-1: 友常 雅子 東京都立小児医療センター 臨床研究支援センター 臨床試験科
CS2-2: 中山 雄介 エーザイ株式会社JAC創薬ユニット 推進部
CS2-3: 藤原 貴浩 サイトサポート・インスティテュート株式会社 首都圏東ブロック首都圏東オフィス セントラルIRBグループ
概要
日本医師会治験促進センターでは、7年前より一般市民のための治験啓発活動のためにイベントで使用する啓発ツールの貸出しや治験を説明するパンフレット等を無料で提供し医療機関の啓発活動を支援している。また、治験関係者のために治験実施医療機関情報の公開、関係者育成のためのe-Training center、治験業務支援システム「カット・ドゥ・スクエア」、治験計画届作成システムなどを無料で提供し支援している。 今回、治験促進センターの啓発ツールの貸出し実績が多い医療機関10施設にアンケート調査を行った。その集計内容を紹介するとともに、回答した医療機関から実際の啓発活動の事例や本セミナーを聴講する医療機関への治験の啓発活動に関する提案をお願いした。
また、治験依頼者から、カット・ドゥ・スクエアを利用した治験関連文書の電磁化への取り組みについて発表していただく。導入に向けた社内プロジェクトでの検討経緯、電磁化のメリットを医療機関と相互に享受するための課題、今後の取り組みや医師会と共同で作成した医療機関への啓発資料を紹介いただく。 同じく、カット・ドゥ・スクエアを利用し、治験の手続き及び治験審査委員会の資料の電子化を推進しているSMOを招き、ある治験がスタートする際の手続き、情報の共有、IRB資料の電子化など、カット・ドゥ・スクエアを利用した場合の業務の効率化事例を紹介いただく。
治験の実施には、患者(被験者)の治験に対する理解は最重要である。実施する場合には、治験手続き治験関連文書の管理を効率化することで、その他の多くの業務の時間を生み出すことができる。今回のセミナーでは、この両面から治験実施を支援する鍵を発見いただければ幸いである。

共催セミナー3

9月13日(日) 12:15~13:45 第4会場

『国際共同試験(MRCT)に求められる治験の信頼性・透明性』

座長 林  光夫 PhRMA/MSD株式会社 サイトモニタリング部
塚原喜久男 EFPIA Japan/ノバルティスファーマ株式会社 臨床開発統括部
CS3-1: 有働 建史 ファイザー株式会社 クリニカル・オペレーション部
CS3-2: 東海 康之 GSK株式会社 パイプライン・イノベーション推進部門
CS3-3: 宇佐美昌代 ノバルティスファーマ株式会社 ディベロップメントクオリティアシュアランス部)
中川  孝 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 クオリティマネジメント部
共 催 PhRMA/EFPIA Japan





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